リモート観測システム事例
可搬型GNSS連続観測装置
システム概要
可搬型GNSS連続観測装置は、国土交通省国土地理院が全国に展開する電子基準点網の対災害性強化(電子基準点が災害等により機能が損なわれた場合の臨時観測)を目的として作製されました。
筐体設計
筐体はREGMOS®-H miniで培った組立可搬型の構造から、ミニオクトフレームを新たに設計しました。最低2名の作業者で運搬から設営まで実施できます。筐体の設営はネジ節鉄筋によるアンカー固定と、筐体底面を拡張組み立てする据え置き設置が可能です。
システム設計
システムは電子基準点の一部となることから、新たにRCL TypeGTAを開発し、接続機器の電源や通信管理を行っています。
商用電源とソーラーパネルによる自家発電の両方に対応し、こちらも新たに設計した充放電コントローラと併せて電源管理を行っています。バッテリーは大容量のリチウムイオン二次電池を設計製作し、電源容量に対する軽量化を実現しました。
通信については内部ファームウェアの切り替えにより、衛星携帯通信と地上携帯通信の両方に対応しています。また、商用電源が使用できる環境ではLTE通信の使用も対応可能となっており、GNSSデータのリアルタイム配信に活用されています。
- 構 成 :
- RCL(GTA)、GNSS受信機、GNSSアンテナ、傾斜計、加速度計、温度センサ、イーサネットハブ、 通信装置(衛星 携帯or地上携帯)、LTE通信装置、充放電コントローラ、リチウムイオン二次電池、 ソーラーパネル、ミニオクトフレーム(組立可搬型、機器収納ボック ス含む)
無人オーロラ観測装置
システム概要
無人オーロラ観測装置は、国立極地研究所が取り組んでいる南極におけるオーロラ研究のため、全天画像、地磁気、GNSSを観測しています。取得したデータは衛星携帯電話Inmarsat BGANを利用して日本へ送信しています。
1号機は独立型として、1000Ah相当のバッテリーを搭載し、ソーラーパネルと風力発電機で発電を行っています。南極では1ヶ月半前後の極夜があるため、この間は風力発電機の稼働が重要となります。
気温は極夜期に-40℃近くに達することもあるため、機器収納ボックスやRCLも寒冷地仕様で対応し、低温環境下でのシステム稼働を実現しています。
南極で2台運用中
1号機
2016年1月から約1年間、昭和基地付近でテスト稼働
2017年2月からはアムンゼン湾で実運用開始
2号機
2020年1月からプリンセスエリザベス基地(ベルギー)で運用開始
- 構 成 :
- RCL(GCM-P2)、高感度カメラ、ビデオエンコーダ、フラックスゲート磁力計、GNSS受信装置、データロガー、衛星 携帯電話、充放電コントローラ、 バッテリー、ソーラーパネル、風力発電機、機器収納ボックス、設置架台 (2号機は基地からの電源供給仕様のため、発電 機材は未装備)
気象観測システム TECHMOS-8
システム概要
リモート気象観測システムTECHMOS-8はCCTVや気象観測を目的に開発されました。山頂や河川上源頭部などインフラ整備を行うには膨大な費用が掛かる場所でも、特別な工事を実施せずに観測局を構築することが可能です。筺体はオクトフレームを使用しています。 山頂に設置する場合は大型ヘリで吊り上げて空輸します。現地への据え付けは筺体フレームの四隅にアンカーを打ちこんで固定します。 河川源頭部のようなヘリや車による運搬が行えない場所は、筺体に組立可搬型を使用します。パーツを分解して運搬し、現地で組み立てて設置します。
用途1:河川源頭部における土石流監視
- 構 成 :
- RCL,ネットワークカメラ2台,赤外線投光器2台,データロガー,衛星携帯電話,充放電コントローラー,ソーラーパネル,オクトフレーム(組立可搬型)
用途2:山頂部の連続気象観測および崩壊斜面の画像監視
- 構 成 :
- RCL,総合気象計,視程計,ネットワークカメラ,データロガー,衛星携帯電話,充放電コントローラー,ソーラーパネル,オクトフレーム